(1)  慢性腎臓病(CKD)とは?

CKDとは

腎臓の障害を示す所見や腎機能の低下が慢性的に続く状態を慢性腎臓病といいます。この状態を放置したままにしておくと、末期腎不全となり、人工透析や 腎移植を受けなければならなくなってしまいます。
腎臓の悪化は長い期間にわたって自覚症状がほとんどありませんが、自覚症状が現れてから透析療法にいたるまでの期間が短いため、早期発見、早期治療することが大切です。

(2)  慢性腎臓病を医療連携で克服しよう

「慢性腎臓病における医療連携はどうあるべきか」

仙台社会保険病院  田熊淑男

病気との戦いに勝つためには患者さんひとりの力では無理で、強力な助っ人が必要です。少なくとも患者さんの病気がどのような病気であるかを診断する身近な医者(かかりつけ医)と、現時点での最善の手段が何かを知っており、そしてそれを実行してくれる医者(専門医)は必須です。その際にはかかりつけ医と専門医との間で判断、方針の基準が統一されていなければなりません。例えば、1年前に専門医に紹介してくれれば治せる病気であったのに、紹介が遅れたために治せなくなったなどということは避けたいものです。また現在急増しているメタボがあってその末に糖尿病や高血圧になった場合には、いくらかかりつけ医と専門医が優秀であっても病気は治せません。患者さんを含めた3者が手を携えて病気と闘う必要があり、これが医療連携の理想形です。

(3)  慢性腎臓病の特徴と連携の意義

慢性腎臓病の困る点は、何ら症状がないままに徐々に腎臓が壊れていくことにあります。通常症状が出るのは透析が必要になる直前になってからです。また従来は治せないと考えられてきた腎臓病の中には早い時期であれば治せるものもあることが判明してきました。従って、早い時期、治せる時期に専門医を訪ねていただく必要があります。このためには専門医に紹介していただくための明確な基準を作り、これを地域のすべての先生方に利用してもらうように徹底せねばなりません。数年前より尿検査における蛋白、潜血、円柱という3つの成分がどのくらい出ているかにより一目でわかる専門医紹介基準を試みで作り、当院の連携医の皆さんに使用してもらっています。

またいったん病気の正確な診断と治療方針が決まった場合には、かかりつけ医に戻って治療を継続していただきたいと考えています。専門医での継続治療を望むお気持ちは十分判りますが、限られた数の専門医だけでは能力的に不可能だからです。しかし、この際にも判断、方針が変わってしまっては困ります。そのためには患者さん、かかりつけ医、専門医の3者が共通の認識を持ち対応していくことが必要です。病気の種類ごとに検査のスケジュール、治療方針、目標値そしてどのような変化があった時に専門医を再受診すべきかなどが明記された手帳のようなものが必要でしょう。
順次病気に合わせた連携のための手帳を準備中です。

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